岩手県における「手すき和紙」は、現在の地名で岩手県花巻市東和町北成島「成島(なるしまわし)和紙」が「東山(とうざん)和紙」と並び有名である。
成島(なるしま)和紙の歴史
「雨にも負けず、風にも負けず、雪にも夏の暑さにも負けぬ丈夫な体を持ち、欲はなく、決して瞋(いか)らず、いつも静かにくらしている」の文章で有名な文豪、宮沢賢治の出身地でもある当地に、嘉祥年間( 848~850)慈覚大師が当地に毘沙門堂を建立した時、和紙の紙漉き技術が伝来したとされる。
最盛期(明治中期)には成島地区の主産業として栄え、地域住民の多くが手すき和紙の生産にかかわり、分業化しその役割を分担して生活の生業としていた。
成島(なるしま)「手すき和紙」の種類
成島和紙の原料は地元産の「楮」を繊維と繊維をつなぐ、粘剤に「(※)ノリウツギ」を採用している。
古くは提灯用や障子紙が主用途であったため、引張強度、耐圧性などの強度があり、しかもしなやかさを併せ持たせた手漉き製法で生まれた和紙である。
受注品のスペックに合った紙質の製品づくりがおもに漉かれている。
生活環境に多く取り入れられたが、近年では便箋・封筒など薄くてしなやかな紙質の要望に応えたものも多く漉かれている。
※「ノリウツギ」ユキノシタ科の落葉灌木。
東北から北海道の山野に自生。樹皮から抽出したゆるい粘気を繊維のつなぎに利用する
成島(なるしま)和紙 和紙工芸館は体験学習でも盛況
現在「成島和紙」は和紙工芸館が紙漉き体験場を兼ね備え、成島和紙の抄紙技術を伝承するとともに、全国から「成島(なるしま)和紙」ならではの紙質ファンの注文に対応しているただ一つの漉き場となっている。
住所:〒028-0114 岩手県花巻市東和町北成島5-202
TEL:0198-42-3948
FAX:0198-42-4574
営業時間10:00~16:30 ・定休日:月曜日、年末年始
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