「昔懐かしい、あの葉っぱの香りを覚えていますか?サルトリイバラやミョウガなど、日本各地にはその土地の葉っぱで包まれた美味しいおやつがたくさんあります。このサイトでは、全国の郷土菓子とその『包む文化』を詳しく紐解きます。」
郷土で生まれ育ち伝承されてきた「葉」の利用「包む葉っぱ」と「食べる葉っぱ」
植物の葉っぱは、先人の知恵によって、包む以外にも多く利用されています。ヨモギを利用した草餅に代表されるように、野菜として栽培されている以外の生活圏に生えている草木などの植物類の葉っぱを食材として利用しています。
乾燥させて粉末状にしたり、茹でるとか蒸すなどしてペースト状にし、小麦粉や米粉などに練り込むことで、その食味や成分を利用して食べる葉っぱ類も多くあります。
今回は今日まで伝承されてきた「食品を包む葉っぱ」の主なものを集めてみました。
お餅、だんご、まんじゅうなどの食品を包む葉っぱ
ふるさとの味、郷土のおやつを包む葉っぱの主な種類
ふるさとの味で代表される、茗荷まんじゅう、みょうが団子、がめの葉もち、さんきら団子、かからんだんご、しば餅などのほか全国各地で名称、呼び名の違った団子とか餅あるいは饅頭など数多く利用されている
- 茗荷(みょうが)の葉
- サルトリイバラ(山帰来/サンキライ)の葉
- 柏の葉
- さくらの葉
- 笹の葉
- 朴の葉
- 椿の葉
- 月桃(サンニン)
- 柿の葉
- あせの葉(ダンチク)
- 油桐(あぶらぎり)
「旬の葉っぱで包む」のはそれなりに理由があるようです。
- 葉っぱの持つ香りが風味をもたらし、より美味しさを引き立てる
- 葉っぱの持つ殺菌力とか抗菌力で、美味しく食べられる期間を長くもたらしてくれる
- 調理するとき(蒸すなど)にとなりの食材とくっつかないようにするため
サルトリイバラ(猿捕茨・別名:山帰来/さんきらい)の葉

サルトリイバラ(猿捕茨・別名:山帰来/さんきらい)の自生地分布
同類の植物は中国・朝鮮半島・日本などに多く分布している。
日本国内では北海道から九州までの山野や丘陵の林縁などに自生し、日当たりや水はけのよい場所に多く見られる。
九州・中四国地方・関西以南では、サルトリイバラの葉で柏餅を包むのに用いられている。
サルトリイバラの葉が利用される理由とは?
サルトリイバラの葉には保存性効果につながる抗菌作用が認められている。
特に、春から夏場にかけては食品においては腐敗菌の繁殖が速く傷みやすい季節である。
この時期に少しでも保存性を高めるには必要不可欠な抗菌作用のある自然界の贈り物を先人が見つけ今日でも綿々と受け継がれているのである。

カカラ(サルトリイバラ)の葉を団子のパックに用いている理由は,葉の香りを楽しむ,団子がくっつかないようにする,外観をよくするなどが考えられるが,もうひとつの重要な理由は団子の保存性の向上にあると考えられる。
要約:カカラの葉には抗菌性成分が含まれていて,その活性は季節により変動し、春や夏の葉は高く、冬の葉では低下する。
カカラ葉の水溶性成分は細菌に対して強い増殖抑制作用を示したが、酵母やカビに対しては効果がなかった。
出典・参照:鹿児島大学教育学部
サルトリイバラの葉っぱで包む郷土のまんじゅう・だんご・もち類
| No | 呼び名(俗称) | 包む葉っぱの種類 | 中身 | 地域・地方 | 主な粉類 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | かからんだんご | さんきらい | 餡なし/小豆粉・ヨモギの練り込み | 鹿児島県
・薩摩半島 ・大隅半島 ・種子島 ・屋久島 |
もち粉 |
| 2 | いばらまんじゅう | さんきらい | 小豆あん | 三重県
・伊勢 ・志摩 ・松阪 |
小麦粉・上新粉 |
| 3 | がんたち餅 | さんきらい | 小豆あん | 三重県伊勢・北勢 | 小麦粉 |
| 4 | がめの葉もち | さんきらい | 小豆あん | 福岡県主に筑前地方 | 上新粉・白玉粉 |
| 5 | そらまめあん | 滋賀県彦根・近江・湖北 | 小麦粉・米粉 | ||
| 6 | ぼんがらもち | さんきらい | そらまめあん | 滋賀県近江・多賀 | 小麦粉・米粉 |
| 7 | さんきらだんご | さんきらい | 小豆あん | 京都府宇治・京田辺 | だんご粉・もち粉 |
| 8 | しばもち | さんきらい | 小豆あん | 岡山県 | 薄力粉・上新粉 |
| 9 | しばもち | さんきらい | 小豆あん | 広島県 | もち粉 |
| 10 | しば餅 | さんきらい | 小豆あん | 香川県 | だんご粉・小麦粉 |
茗荷(みょうが)の葉

茗荷(みょうが)の葉っぱで包む郷土のまんじゅう・だんご・もち類
| No | 呼び名(俗称) | 包む葉っぱの種類 | 中身 | 地域・地方 | 主な粉類 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | みょうが饅頭 | 茗荷(みょうが) | 小豆あん | 熊本県の宇城、八代 | 白玉粉・薄力粉 |
| 2 | みょうがまんじゅう・焼きびん | 茗荷(みょうが) | 小豆あん | 茨城県坂東市 | 小麦粉 |
| 3 | みょうが団子 | 茗荷(みょうが) | 小豆あん | 新潟県妙高市周辺 | 上新粉・もち粉または白玉粉 |
| 4 | みょうがぼち | 茗荷(みょうが) | そらまめあん | 岐阜県西濃地区 | 白玉粉・薄力粉・米粉 |
| 5 | 半夏だんご | 茗荷(みょうが) | 小豆あん | 高知県大豊町(おおとよちょう) | 中力粉 |
| 6 | 半夏まんじゅう(俗称:はげまんじゅう) | 茗荷(みょうが) | 小豆あん | 岐阜県中濃地域 | 強力粉・薄力粉(または中力粉) |
その他の「葉っぱ」を利用した、「餅、だんご、まんじゅう」のいろいろ

柏の葉っぱ・桜の葉っぱのほか多くの草木に葉っぱが利用されている
| No | 呼び名(俗称) | 包む葉っぱの種類 | 中身 | 地域・地方 | 主な粉類 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 柏餅(かしわもち) | 柏(かしわ) | 小豆あん | 関東/江戸中期頃 | 上新粉・米粉 |
| 2 | きゃばもち | 柏(かしわ) | あんナシ | 岩手県二戸市 | 小麦粉 |
| 3 | 桜餅(長命寺餅) | 桜の葉 | 小豆あん | 関東 | 小麦粉・白玉粉 |
| 4 | 桜餅【道明寺餅) | 桜の葉 | 小豆あん | 関西・関東外で呼ぶ桜餅はこれ | 道明寺粉(もち米を蒸して乾燥後粉砕) |
| 5 | 笹団子(ささだんご) | 笹(クマササ) | 小豆あん | 新潟県 | もち米の粉・上新粉 |
| 6 | 笹餅 | 笹(クマササ) | 小豆あん | 滋賀県近江地方 | 上新粉・白玉粉 |
| 7 | 笹まき | 笹(クマササ) | あんナシ | 岩手県一戸町 | 米粉・もち米粉 |
| 8 | 朴葉巻まんじゅう | 朴葉 | 小豆あん | 長野県木曽地方 | 上新粉・小麦粉 |
| 9 | 椿餅 | 椿の葉 | 小豆あん | 京都 | 道明寺粉 |
| 10 | ムーチー(お餅) | 月桃(サンニン) | 芋あん | 沖縄 | もち粉・紅芋粉 |
※注:笹=クマササとしていますが、他種の説もあるようです。因みにクマササは一本の木に九枚の葉っぱが付くことから「クマイササ」が変化して「クマササ」になった。あるいは熊の主たるエサで「熊の食べる笹」から「クマササ」と呼ばれるようになったなど諸説あるようです。北海道では「チシマササ」が主に利用されているようです。(出展先は雑学にたけた方の説による)
饅頭(まんじゅう)の発祥・由来
「まんじゅう」の由来には諸説あるようですが、一説には、中国から禅僧とともに渡来した、林浄因とともに入ってきたと伝えられている。
奈良市に在る、漢国神社(かんごうじんじゃ)の境内には、室町時代のはじめ中国から渡来し、日本に初めて饅頭を伝えた林浄因(りんじょういん)を祀る林神社がある
この林神社には、祝い事に利用する「紅白上用まんじゅう」ですが、この風習も昨今都会では薄れてきたのでしょうが、地方へ行けばまだまだこの風習も残されているように思われます。
この紅白上用まんじゅうについて、事の起こりに由来する、紅白上用饅頭を埋めたと伝えられる饅頭塚が残っているようです。
参照:奈良観光協会サイト
林淨因のお饅頭は、南北朝時代の第97代天皇、後村上天皇(ごむらかみてんのう/在位1339~1368)に献上されるまでになり、天皇はお饅頭を大変喜び淨因を特別扱いし、宮女を賜りました。結婚に際し、淨因は紅白饅頭を諸方に贈り、子孫繁栄を願って大きな石の下に埋めました。これが「饅頭塚」として、林淨因が祀られている林神社に残されています。今日、嫁入りや祝い事に紅白饅頭を配る習慣は、ここより出ているものです。参照:塩瀬総本家
