「みょうがぼち」と呼ぶ茗荷の葉っぱで包んだもちがあることを聞いていたが、今回、岐阜県西部に位置する瑞穂市の知人宅へ出かける機会があり「みょうがぼち」を頂きました。
茗荷まんじゅうかと尋ねたところ「みょうがぼち」というそうです。一口食べると茗荷の香りとほんのりやさしい甘さの白いそら豆の餡。
お茶うけにいただいたのがこの和菓子、本当に美味しい「おまんじゅう」です。
余りのおいしさについつい3個も食べちゃいました。
みょうがぼちとは「茗荷の葉っぱで包んだ餅(もち)」がいつの間にか餅がぼちになったとか。
岐阜県西部「みょうがぼち」と呼ばれる郷土おやつ
田植えの合間のおやつとして親しまれてきた「みょうがぼち」。
みょうがの旬である6月から8月にかけて作られるこのおやつと言おうかお菓子の、さわやかな風味が、夏の訪れを感じさせます。
岐阜県の南西部に位置する養老町。名水百選にも選ばれた「養老の滝」で知られるこの地は、県下有数の水田面積を誇る穀倉地帯でもあります。
この養老町を含む西濃地域には、「みょうがぼち」と呼ばれる郷土菓子があります。「ぼち」とは、この地方の方言で、小麦粉を練って蒸したもののこと。それにそら豆のあんを包み、みょうがの葉で包んだのがみょうがぼちです。昔からこの地域では、田植えなどの農作業の合間に、疲れを癒すおやつとして、このお菓子を食べる風習がありました。
各家庭でも、作られなくなった幻の味「みょうがぼち」
「昔は今より田植えの時期が遅くて、しかも期間が長かったの。人の手で植えていたから、6月から始めて7月半ばまでかかったのよ。だから暑い時期でもいたまないようにと、殺菌効果や防腐効果があるみょうがの葉を使ったんでしょうね」と養老町に住む早崎智恵子(はやさきちえこ)さん(80)と佐々木康子(ささきやすこ)(69)さん
※出典:農林水産省=「特集2 ほっとするね。おばあちゃんの懐かしご飯」より
みょうがぼちの作り方
材料〈 約40個分 〉
あん
- 空豆(乾燥・皮むき) : 500g
- グラニュー糖 : 500g
- 塩 : 大さじ1/2
生地
- 小麦粉 : 500g
- 砂糖 : 30g
- 塩 : 10g
- 水 : 600ml
みょうがの葉
- みょうがの葉 : 40枚
- 塩 : 少々
作り方
- 鍋にたっぷりの湯を沸かし、そらまめを入れ、時々差し水をしながら柔らかくなるまで茹でる茹であがったそらまめをボールに重ねた、ざるに移し入れ、木べらなどで軽く広げる
- ボールの底に煮溶けたそら豆が溜まるので、布巾に入れて水気を絞る。ザルのそら豆とともに鍋に移し、グラニュー糖と塩を加え、木べらでかき混ぜながら、刺した木べらが立つくらいまで煮詰める。火を止め一晩おいて冷ます。
- みょうがの葉は濡れ布巾で拭いて汚れを落とす。塩少々を入れた熱湯にみょうがの葉を入れ、2分ほど茹でて冷水に取り、ざるに上げる
- ザルに上げた、みょうがの葉を乾いた布巾の上に並べ、上にも布巾をかけて水気を取り除く
- 生地を作る。まず、鍋に湯を沸かし、砂糖と塩を加えて沸騰させる。これをボールに入れた、小麦粉に一気に加え、箸でかき混ぜる。
- 熱いうちに、滑らかになるまで捏ねる。硬さは耳たぶの柔らかさ位が目安。
- 捏ね上げた生地を1個当たり30g程度のかたまりにちぎり、薄くのばす。
- 一晩寝かせた、そら豆のあんを30g程度包んで玉子型に整える。
- 玉子型に整えたものを、蒸し器に並べ、強火で10分ほど蒸す。生地が白く透き通ったら火を止める。
- 茹でて冷まし、水切り終えた、みょうがの葉で包む。
※出典:[農林水産省 HP=ほっとするね。おばあちゃんの懐かしご飯]より
「みょうがの葉」を使って包む、饅頭・お餅・だんご類の呼び名と食域
茗荷の葉っぱで包む郷土のスイーツと呼べる味わい深いまんじゅう、お餅、だんごなど主なものを並べてみました。
茗荷の葉っぱで包む郷土のおやつ呼称(俗称)と中味の具の種類及び使用される粉の種類
呼び名(俗称) | 中身の具 | 郷土・発祥地 | 主な粉類 |
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みょうが饅頭 | 小豆あん | 熊本県の宇城、八代 |
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焼きびん | 小豆あん | 茨城県坂東市 | 小麦粉 |
みょうが団子 | 小豆あん | 新潟県妙高市周辺 |
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みょうがぼち | そらまめあん | 岐阜県西濃地区 |
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半夏だんご | 小豆あん | 高知県おおとよ町 | 中力粉 |
半夏まんじゅう | 小豆あん(作り方) | 岐阜県中濃地域 |
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